生物分類学と犬

生物分類学では、形質が似ている個体の集まりを「種」と呼び、さらに、似ている「種」の集まりを「属」と呼びますが、このような生物分類の基本的な形は、アリストテレスの時代に確立されました。


アリストテレスの分類方法(人為分類)


アリストテレスは、体の外部の特徴や形質を基準にして動物の種を一つの体系(人為分類)にまとめました。この、動物を大きく有血動物と無血動物に分類するアリストテレスの分類方法は、18世紀まで通用していました。

リンネの分類方法(系統分類)


スウェーデンの博物学者リンネは、脊椎動物を重視した4,200種の動物を体系的に分類しました。リンネは「種」「属」の上に、「科」「目」「綱」「門」「界」という高次の分類区分を設けて、体系的な生物分類(系統分類)を可能にしました。

生物分類の最小単位である「種」とは、交雑が支障なく可能で、完全な生殖能力を持つ子孫を残すことができる個体群と定義されます。

リンネは、生物の最も大きな区分に「動物界」と「植物界」を置いています。動物界には現在約100万種の動物が分類されていますが、このうち70万種以上が昆虫です。植物界には約32万種の植物が分類されていますが、このうち28万種が被子植物です。

また、無脊椎動物の分類に力を注いだラマルク、その後のやキュビエなど、多くの研究者によって今日の生物分類の基礎が作られました。

人為分類とは


人間生活との関係など、人為的な基準で生物を区分する方法で、系統分類が行われるまでの一般的な分類方法でした。

系統分類とは


生物が進化することを前提とし、生物の系統的類縁関係を基準にした生物区分の方法で、すべての生物を5界に分け、順次小さく分類を進めます。

分類の歩み


遺伝学が注目されるまでの生物分類は、外見の観察に基づくものであったため、爬虫類と魚類、哺乳類などが混同される過ちもありました。

近年の遺伝子工学の画期的な進歩によって、生物間の関係や生物の進化の経過を解明することができるようになり、過去の学説が訂正される局面も出てきています。

犬の定義


犬を生物分類学上定義すると次のようになります。

イエイヌは、イヌ属の動物タイリクオオカミの亜種で、学名はカニス・ルプス・ファミリアリスです。

界 : 動物界
門 : 脊椎動物門
亜門 : 羊膜亜門
綱 : 哺乳綱
亜綱 : 獣亜綱
下綱 : 真獣下綱
類 : 猛獣有蹄類
目 : 食肉目
亜目 : 避脚亜目
科 : イヌ科
属 : イヌ属
種 : タイリクオオカミ種
亜種 : イエイヌ


生物の分類方法は、細部では個々の研究者、分類者によって内容が異なっています。

また、この先あらゆる生物の遺伝子情報(ゲノム)が解読され、比較されることによって、アリストテレス以来の動物分類学の見直しが進み、私たちは新しい事実の発見に出会うことになると考えられます。


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