「スワレ」のトレーニング

多くの愛犬家が、最初に犬に声をかけるのは「オスワリ」であると言われています。家庭犬トレーニングにおいて「座る」ということは、基本動作の中でもとりわけ重要なもので、人間社会との共存の各場面で最も活用頻度の高い科目であり、あらゆる犬に早期に習得させるべきものといえます。

犬と接触のない人は、座っている犬には安心感を持つものです。そして実際に、座っている犬が人を襲うようなことはありません。「スワレ」の習得によって、家庭犬は隣人から信頼され、地域社会に友好的に迎え入れられることになります。特に中型犬以上の犬には、このトレーニングは必要不可欠なものとなります。

初期の「スワレ」のトレーニングでは、「タッテ」から「スワレ」、「スワレ」から「タッテ」を組み合わせて教えます。

いろいろな「スワレ」の教え方


子犬を遊ばせながら教える


「スワレ」のトレーニングは、生後2~3ヶ月の幼犬時から開始します。

①子犬と一緒に遊んでいる時に、子犬をトレーナーのそばから少し押しやって離し、子犬が走り寄ってきたら、子犬の胸を手の平で受け止めます。

②子犬が自然に座ったら、すばやく「スワレ」と言い、立ったままなら「スワレ」の指示を与え、同時に子犬のお尻を軽く押し、「スワレ」の体勢に置きます。

③優しく褒めます。

④子犬が自然に立ったら、片手を子犬の体の下に入れ、犬の名を呼びながら「タッテ」の正しい体勢になるように起こし、「タッテ」の指示を与えます。

⑤充分に優しく褒めます。

食事を利用して教える


生後3~4ヶ月の幼犬の場合には、食事の時を利用して「スワレ」を教えるのが最も簡単です。

①食器をめざして犬が手元に来た時に、犬が上を見なければならない位置まで食器を持ち上げ、「スワレ」と声符をかけ、座るまで待ちます。犬の後方に壁があれば、食器を頭上に持ち上げた時、後に下がることができなくなり、自然に「スワレ」の姿勢をとらせることができます。

②座ったら食事を与え、食事のたびにこの動作を繰り返します。

このトレーニングは犬と遊ぶようなつもりで繰り返すことが大切です。

食物を利用して教える


①子犬と向かい合わせにひざまづき、右手で犬の好物を持ち、臭いを嗅がせます。

②食物を子犬の頭上に持ち、ゆっくり犬の後方に移動します。

③犬は、立っているより座ったほうが食べ物に注目しやすいので、自然に座ります。

④その時、すばやく「スワレ」の指示を与え、言葉でオーバー気味に褒め、ご褒美として食物を与えます。





この他にも、「声符のみで教える」方法や、「強制を伴う」方法などがあります。

声符のみで教える


生後4~6ヶ月の犬に達し、ある程度環境に慣れた犬の場合は、犬の座る行為を待って、その行為と同時に「スワレ」の声符をかけ、声符の意味を理解させることができます。この方法を利点は、犬にとってはトレーニングされている負担が全くないことです。

強制を伴う「スワレ」


犬とトレーナーが同室で生活していない場合や短期間に一定の効果をあげたい場合には、一般的に強制を伴う方法が行われます。これは右手で犬の顎を持ち上げ、同時に左手で尾の付け根を押し上げる方法を取りますが、「スワレ」に限らず、人の手による強制を伴うトレーニングは、長時間繰り返し続けることは避けなければいけません。


このように、「スワレ」を教えるにもいろいろな方法がありますので、犬の年齢や状況に適したトレーニング方法を選ぶと良いでしょう。


一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
わんわん相談員の詳細はこちら

SNSでもご購読できます。