「フセ」(伏せること)

犬が肘と腹部を地面に着けている状態を「フセ」といいます。「フセ」ができれば、犬を一定時間以上待たせることができるようになります。

「フセ」は「スワレ」以上に安定した状態で、一定以上の時間「フセ」の姿勢を続けさせても犬の負担は大きくはないのですが、反面、犬にとって突発的な事態に対して反射的に行動するには不利な姿勢でもあります。

このため、神経質な犬では、テリトリーの外の慣れない場所や、他人や他の犬が近くにいる場所では、容易に「フセ」ようとはしません。

脚側での「フセ」ではトレーナーと犬の体が平行であることが要求されます。いわゆるスフィンクスの形が理想ではありますが、特別なトレーニング試験以外では、「フセ」の姿勢に関してはさほど厳密ではありません。

「フセ」を教えるには、犬の年齢や大きさ、性格によって、異なる指導方法を採用するのが効果的です。中型犬以上では、「フセ」の習得は必須で、ある種の行動の禁止や事故防止にも有効に活用されます。

「フセ」の姿勢、トレーナーの命令と次の命令の間に緊張感のない時間があると、後肢を横に出した「ヤスメ」の姿勢になりがちです。正しい「フセ」の姿勢を保たせるためには、常に犬の注意を引く努力が必要であるといえるでしょう。


子犬を食物で誘導する「フセ」


「フセ」は動作としては単純ですが、犬の月齢を増すごとに習得させるのが困難になっていきますので、自我意識がさほど強くない子犬の段階で完全に習得させるのが望ましいといえます。その場合は、食物などのモチベーターを利用して、早期にトレーニングを開始させると良いでしょう。

強制を伴う「フセ」


無理に「フセ」の姿勢をとらせる場合には、犬に恐怖心を与えないように、繰り返し指導する必要があります。もし横に寝てしまっても、幼犬であれば、最初はおおめに見ます。強情は犬の場合は、前足を引けば腰を上げ、ひっくり返って抵抗する場合もあります。このような犬は、トリミングテーブルなど高所に乗せて、同様のトレーニングを行うようにします。すると犬は高所恐怖により、自然に伏せることになります。

強制を伴う方法は、あらゆる方法を試した後の、最後の手段として考えるべきものです。力で制するトレーニングを続けていると、犬はトレーナーの力に屈し、命令に従いますが、力の無い者の命令を無視するようになっていきます。日常生活の安全を考えた場合、中型犬や大型犬になればなおさら、強制によるトレーニングは避けるべきといえます。

「フセ」に限らず、トレーニングの方法に「これが正しい」というものはありません。強制的なトレーニング方法を繰り返してしまうと、トレーナーに対する不信感や抵抗心を芽生えさせることになりますので、犬に負担の無い誘発的なトレーニングを試み、トレーナーは、時間をかけてその犬に合ったトレーニング方法を見出すことが求められます。

「フセ」から「マテ」


「フセ」は犬を待たせるために使用される頻度の高い姿勢であり、「フセ」のトレーニングが進むに従って、「フセ」て「マテ」に移行していくべきものです。しかし、「フセ」をマスターした犬であっても、「マテ」を命じたトレーナーが、突然姿を隠すと、犬の不安感が募り、立ち上がってしまうのが普通です。

「フセ」た犬を待たせるためには、犬に安心感を与えることが必要であり、一般的にはトレーナーが時々犬の体に触れながら、「フセ」た犬の周囲を回る「儀式」が行われています。

犬の様子を観察しながら、徐々に犬の体に触れることを少なくし、犬との距離を置き、やがてはトレーナーが見えない状態でも待つことができるようにトレーニングしていきます。


一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
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