「声符」と「視符」を活用する

犬は賢い動物です。中には人間の4歳児程度の知能を持つ犬もいると言われています。犬が人間の言うことを理解できるのは、人間の言葉やサインを何度も繰り返し見たり聞いたりし、その言葉やサインの意味する行動を取らされているうちに、身体が条件反射的に動くようになるためです。

トレーナーや飼い主が、犬に命令を分かりやすく伝えるために活用する言葉やサインを「声符」と「視符」といいます。

声符や視符を上手く活用していくことは、効果的なトレーニングのためには大変重要といえます。また混乱を避けるためには、声符や視符を統一することも必要です。

例えば、幼犬には「オイデ」と「コイ」が同じ意味だと分からない場合があります。また、昨日まで許していた事項を今日から禁止するようなことも混乱をまねきます。今なぜ褒められたのか、あるいはなぜ叱られたのかということを犬にはっきりと認識させるためにも、一度決めた声符や視符は変えてはいけません。

効果的なトレーニングのためには混乱を避ける配慮も大事なことなのです。


声符


トレーナーが発する声によるサインを「声符」と言います。声符とは、トレーニングの命令に使用する用語のことで、犬が理解できるような簡素な用語を使うことが大切です。視符と合わせて「コマンド」とも呼ばれます。

声符はいつも同じ調子、同じ声の大きさにすべきであり、そうでなければ犬は理解できません。

大きな声で言わなければ通じない場合、犬は声符を理解しているのではなく、トレーナーの興奮した態度に反応しているのかもしれません。何度も言わなければ通じない場合、初めの命令は無視されていることになります。時々しか従わない場合、命令よりも犬の欲求を優先しており、それを許したトレーナーの曖昧さを都合よく解釈していると思われます。

声符のポイントは短いことです。「コイ」「マテ」「フセ」など2文字の言葉が犬にも覚えやすいものです。声を発するときにはアクセントを強調して、より聞き取りやすく発するよう心がけます。


視符


トレーナーが発するジェスチャーを「視符」といいます。視符とは、トレーナーが手や身体を動かし、一定の動作として犬の視覚機能を刺激し、命令を伝えるサインのことです。「ハンド・シグナル」とも呼ばれ、声符と併用されます。視符のパターンは、必ずしも世界的に統一されているわけではありません。

視符は、犬が注目していてこそ伝わるものです。ですから、いかなる科目のトレーニングであっても、視符を与えるにはタイミングが重要といえます。

初期の段階では、犬を注目させるために名前を呼ぶこともやむを得ません。また、視符そのものもオーバー気味に表現したほうが良いでしょう。先に声符を与え、犬が注目していることを確認した後に視符を与えなければならない場合もあります。

注意散漫な犬の場合は、神経を集中させるために静かな場所でトレーニングを行うと良いでしょう。トレーナーがトレーニングをする場合に、近くに飼い主や家族がいるような状況では、犬にトレーニングに集中させるのは至難の業です。そのようなことは、少なくとも初期段階では避けたほうが賢明です。

「視符」と「声符」は単独でも使いますが、多くの場合はうまく組み合わせながら活用することで、効果的なトレーニングが行えます。


一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
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