カウンセラーが相談者と話す場においては、対面の角度をどうするかに気を配る必要があります。正面から向かい合って座る姿勢を「対立の姿勢」と呼びますが、この角度で座ると、必然的に常に双方の視線が合うことになります。
この座位置は商談や報告などには適していますが、カウンセリング、特に初対面の場合には、この位置関係で長時間対話を続けた場合、相談者には徐々に追いつめられるような心理状況に陥ります。また、この状況下では視線をはずすことが不自然に感じられるので、ゆったりと会話を進めて行くことも難しいと言えます。
相談者がカウンセラーを必要以上に意識せず話を進めるためには、座位置は4 5から9 0度くらいずらして座ることが推奨されます。この位置関係ですと、正面を向いた状態ではお互いの視線は合わず、話の重要度に応じて顔を見た時に視線が合うことになります。前に広いパーソナルスペース理論に配慮した位置関係で、かつ双方の距離の調節も容易です。
環境づくり
カウンセリングルームは静かな環境が望ましく、照明も適度な明るさに調節します。
相談者の視線の先は単なる壁であることが望ましく、雑多なものが見えないように位置を決めます。
音楽を流すことも悪くはありませんが、カウンセラーの趣味が相談者のそれと一致するわけではないことを理解しておくことが必要です。高尚であれ、その逆であれ、「こんな趣味をもつ人が自分を理解してくれるはずはない」と相談者が考えてしまう危険性もあります。
テーブル上に季節の生花を飾ることは良いことです。花瓶は双方から等距離で、双方の視線上からずらした位置を選びます。
人の会話が聞こえてくる環境は避けるべきです。他から聞こえてくるということは、こちらの相談内容も部外者に聞こえていることを意味します。
話しやすい雰囲気を作る
初対面では、相談者の緊張を解くために、リラックスした雰囲気で席につくように心掛けます。相談者に楽な姿勢で座るよう勧めても、カウンセラー自身が堅い表情でいては相談者の緊張は解けません。
しかしながら、双方がうち解けているとは言えない状況で、腕を組むとか、脚を組むといった姿勢は、相手に高圧的な印象を与えますので、対話には支障があります。
カウンセラーは座面に深く腰掛け、前方に傾斜気味な姿勢をとり、積極的に話を聞こうとする意欲を見せます。自分を相談者の側に置き換えた時 「どんな雰囲気の相手が話しやすいか」よく考えると良いでしょう。
カウンセラーの表情
不機嫌な表情、落ち着きのない表情では話しづらいものです。重苦しく沈んだ雰囲気の対応では、相談者は気が滅入ってしまいますが、相談者が悩んでいる時に、カウンセラーが過度に明るい笑顔で対応するのも問題があります。
カウンセラーに最も望まれるのは「ニュートラル」な表情です。ニュートラルな表情とは「無表情」は違い、「自然でおだやか」な表情のことを言います。
けれどもこの表情は、実践するのはきわめて難しいと言え、練習してできるものでもありません。カウンセラーとして、相談者と対面する時にだけ 「自然でおだやか」 な人間になることが出来る人はほとんどいないでしょう。
そのため、相談者の信頼を得ることの出来るカウンセラーであるには、なるべく実際に 「自然でおだやか」な生活を送ることが望まれるのです。
自分を相談者の側に置き換えた時に最も期待するのは、「カウンセラーの人間性そのもの」を尊敬できることであると言えるでしょう。
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