イギリスではK・C (ケネル・ クラブ)の指導のもとに、全国に「犬の学校」が設けられており、全国どの地域でも社会生活に必要な一定水準の犬のトレーニングを受けられるようになっています。
日本の犬の訓練の概念と最も異なる点は、「犬の学校」へは犬の飼育者と犬が共に出席し、直接犬はトレーニングするのは飼育者である、ということです。「飼い主がトレーナーに最もふさわしい」という理念をそのまま実践している点には、見習うべきところが多くあります。
飼育者を指導する
各学校にはそれぞれ著名なトレーナーが所属していて、ボランティアに近い状況で多くの犬(飼育者)の指導にあたっています。学校の雰囲気は、笑が絶えず、きわめて明るいもので、地域の犬好き家族の社交場的な様相です。
「飼育者を指導する」方針が正しいと言わざるを得ないのは、週2回の授業は、まさに飼育者がトレーニングの方法を教わるためのものであって、犬のトレーニングそのものではないことによります。そもそも週2回の30分程度のトレーニングだけで犬がこれほど利口になることはありません。
飼育者は指導を受けたトレーニングの課題を日常的に実践し、消化し、次の授業に備えている点がきわめて重要です。トレーニングの会場では不特定多数の人や多くの犬と接することになり、犬の社会性を養うことにも役立っています。
修了テストに合格した犬には、グッドシチズンの称号が与えられ、認証状とリボンが交付されます。
日本の現状
日本では、一般的に「訓練に出す」「訓練士に任せる」方式がトレーニングの方法として論じられていますが、このような現状には少々疑念を禁じ得ないものがあります。
グッドシチズン・ドッグ計画
「犬の学校」は週2回、各クラス別に授業が行われる。飼育者が犬とともに出席してトレーニングの方法を学びます。
英国K・Cグッドシチズン・ドッグ計画(要約)
・「ケネルクラブ・グッドシチズン・ドッグ計画」は、リードを付け、コントロールされて歩く、座る、伏せる、飼育者におとなしく手入れをさせる犬を育てることを目指して行われるものである。
・この計画は競技ではない。
・この計画はケネルクラブに登録されている、いないにかかわらずワクチン接種が住んでいれば全ての犬を対象とする。
・対象となる犬の年令制限はない。
・進級テストは規則的な間隔で行われる。
・修了テストでは、タッテ、スワレ、両サイトまたは後方でのフセなど、どんな場合でもリードを付けてハンドラーのそばに位置していなければならない。
・最終的には、犬は呼ばれたときにハンドラーの手元に来なければならない。
終了証明書は下記に示す必須科目が成し遂げられた時に与えられます。
1.各ハンドラーは糞の始末をきちんと行い、すべての犬は首輪と鑑札をつけていなければならない。
2.首輪とリードは犬のタイプに合わせ、ハンドラーがそれらを正しく取り扱わなければならない。
3.ハンドラーの指示どおり、気を散らさずにリードを付けて歩く。
4.ドアや門リードをつけて通過する。犬はハンドラーの左側を前後に不当に引っ張ることなく歩く。
5.リードを付けて人や犬の間を歩く。犬はハンドラーの指示によって1分間、静かにリラックスして「タッテ「スワレ」「フセ」が続けられなければならない。
6.リードを付けて、ハンドラーの指示によりフセとステイをする。
犬はリードを付けたまま「フセ」の姿勢をする。リードは犬の横の地面に置かれ、ハン
ドラーは「ステイ」を命じ、1分間5m離れたところに移る。
7.対象となる犬は、それぞれの犬に合った適切な手入れが行われ行われていなければならない。
8.犬は終始ハンドラーが取り扱う。これは最も重要な課題で、かなりの気配りと、専門的な技術、忍耐が求められる。
犬の口、鼻、のど、目、耳、そして「タッテ」「スワレ」「フセ」の各姿勢での足の骨格の試験がある。
9.ハンドラーはリードを離し、犬から離れて呼び寄せ、リードを付ける。
限られた範囲内、すなわち家の中や庭で犬が放されている時、ハンドラーが犬を呼び
寄せることができることはきわめて重要である。
犬に「スワレ」を要求することなく、動き回らず簡単に首輪にリード付けられるようにする。
試験官はこれらの課題に沿って合格、不合格の判断を下します。
犬は修了証書を受けるためには、それぞれの課題について合格判断を受けねばなりません。
これらの試験は厳格に実行されなければなりません。大声で吠えたり、うなったり、威嚇したりする振る舞いは容認できず、このような犬はさらなるトレーニングの継続が、合格するまで要求されます。
犬に対する責任と管理はハンドラー(飼育者)の手中にあるという認識が重要です。
一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
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