センドアウェイ(イケ)

センドアウェイ(遠くへ送る)とは、指示によって犬を直進で50mほど走らせ、定位置で伏せさせるトレーニング科目のことです。

このトレーニングは、牧羊犬をコントロールする必要性から発生しています。牧羊犬のトレーニングにおいても声符は「イケ」が用いられており、「イケ」の声符で羊のいる場所に送られます。


センドアウェイの2点の約束事


トレーナーは、「犬の行く先には目的物があること」「そこへ行くことは犬にとって喜びであること」の2点の約束事を理解することにより、トレーニングの方法について多くのヒントを得ることが出来ます。

犬の行く先には目的物があること


牧羊犬の場合、犬はモチベーターとしての「羊」に向かって速く正確に走っていかなければなりません。この時大事なことは、犬はモチベーターへ向かって送られるのであって、決して何もないところへ走らせてはならないということです。

そこへ行くことは犬にとって喜びであること


牧羊犬が羊を見つけることで褒められるように、家庭犬は犬の好きなおもちゃや食物などが置かれているところへ走っていくことによって褒められます。

牧羊犬は羊のところへ走り、羊は羊飼いが指示したところへ集められます。同様に、家庭犬は、モチベーターはいつもトレーナーが指示したところ、すなわち直進した先にあることを学ぶのです。つまりトレーナーが「イケ」と指示を出した時は、犬に「行ってモチベーターを取りなさい」と言っていることになるのです。

センドアウェイのモチベーター


トレーナーは、犬に与えるモチベーターは食物かおもちゃかということを最初に決めておく必要があります。そして、モチベーターは「犬が本当に望んでいるもの」であるということがとても大切なことです。

もし食物をモチベーターと決めたら、小さく平たい食器状の物を目的地に用意し、その上に食物を置くようにします。地面に直接食物を置いて、犬に探し回らせ、がっかりさせることはトレーニングする上で障害となるからです。

食物をモチベーターにした時は、指示が完了した時に食物を再度与えるようにします。

また、食物を選んだ場合でもおもちゃを選んだ場合でも、モチベーターは出発点から見えてはいけません。多くの場合、遠くから見えないマットの切れ端が使用されていますが、もし犬がおもちゃよりもマットに興味を示したら、マットをモチベーターとして使用します。


センドアウェイ(完成形)


①トレーナーは犬に目的地を示す。

②「まっすぐ見て」と声符を与える。

③「イケ」の声符を与え、目的地に走らせる。

④目的地で犬はトレーナーの方向を向いて伏せる。

センドアウェイのトレーニング(1)


①スタート地点に犬を待たせ、トレーナーのみが犬を送りたいと思う場所(目的地)へ進む。

②トレーナーはかがみ込み、犬の好きなものをモチベーターとして目的地の地面に置く。

③トレーナーはまっすぐ犬の方に向かわず、横にそれて歩き、途中で犬を呼び寄せ、2~3分時間を費やす。

④犬を再びスタート地点に連れていく。

⑤目的地の方向を向かせ、「まっすぐ見て」の指示を与える。トレーナーはモチベーターがいつも犬の鼻からまっすぐな直線状にあることを犬に気づかせなければならない。

⑥トレーナーは目的地に対し、正確な「イケ」の指示を与える必要がある。犬がすでにまっすぐ目的地を見ている時に「イケ」の指示を与える。

⑦犬を目的地に向かわせる。この段階で曲がって走っていく犬は、まっすぐに走れるくらいまで距離を短くし、徐々に距離を伸ばしていく。

⑧犬は目的地でモチベーターを見つけ、

⑨スタート地点に戻る。

⑩トレーナーの指示通りに走ればモチベーターがあることを犬に理解させる。

センドアウェイのトレーニング(2)


①犬を出発点に伏せて待たせる。

②トレーナーは直進せずに大回りしながら、任意の目的地に向かう。トレーナーの進む方向とモチベーターの場所を一致させないためである。

③トレーナーは目的地にモチベーターを置く。

④トレーナーはまっすぐ犬の方向には向かわず、大回りする。

⑤トレーナーは途中で犬を呼び寄せ、犬とともに走り、遊び、モチベーターを置いたことから注意をそらす。少なくとも数回回り、場所を変える。

⑥トレーナーは犬とともに出発点に向かう。出発点に犬を座らせ、目的地の方向を向け「まっすぐ見て」の声符を与える。

⑦「イケ」の声符で犬を走らせる。犬はまっすぐ目的地の方向に走り、

⑧モチベーターを見つけ、

⑨出発点に戻る。

⑩犬を充分に褒め、遊ぶ。


一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
わんわん相談員の詳細はこちら

SNSでもご購読できます。