アイコンタクトとは、文字通り「視線を合わせる」ことであり、犬が「名前を呼んだ人の目を見る」ことをいいます。
犬の群れでは、個々のメンバーは常にリーダーを意識して行動します。犬の社会ではアイコンタクトは情報交換の手段であり、リーダーと個々の犬におけるアイコンタクトは「支配と容認」を意味します。
家庭犬においても、犬が飼い主やトレーナーをリーダーと認めている場合には、視線を合わせ、リーダーの表情や意思を読み取り、次の指示を待つようになります。
トレーニングにおけるアイコンタクトの大切さ
アイコンタクトはこれからトレーニングをしようとする際に、とても重要な役割を果たします。飼い主やトレーナーが名前を呼んだ時に犬が注目する状況は、あらゆるトレーニングに入る前提条件であって、トレーニングの基本といえます。アイコンタクトが出来れば、犬にリーダーと認められていると考えてよいでしょう。
逆に呼ばれても注目しない犬は、ほとんどの場合、聞こえてはいても無視をしているのであり、そのような場合にはいかなる命令も無意味であるといえるでしょう。
犬が名を呼ばれたら、呼んだ人を見るのは当然であり、どのような犬も、子犬の時には餌を与える人に注目し、名を呼べば視線が合ったはずです。しかしいつの間にか注目しなくなったということは、飼い主やトレーナーをリーダーとは認めていないということです。
このように、アイコンタクトが出来るか出来ないかということは、単に目を見る、見ないという問題だけではなく、広い意味では、犬が飼い主に服従する意思があるかないかを示すものであり、トレーニングが成功するための基本的な条件となるのです。
また、アイコンタクトはトレーニングの成果として出来るようになるというより、幼犬時からの習慣として日常生活の中で継続していくことが肝心であり、それが望ましい家庭犬を育てていく第一歩といえるでしょう。
アイコンタクトを教える
アイコンタクトとは「名前を呼んだ人の目を見る」ことであり、トレーニングの積み重ねによって「名前を呼んだ人に継続的に集中する」ことです。これを「次の指示を待つこと」に繋げ、習慣づけていきます。
アイコンタクトを教えるには次のように行います。
1.モチベーターを手に持ち、犬に気づかせ、注目させる。
2.犬の名を呼び、モチベーターをトレーナーの顔に近づけ、視線上に移動させる。
3.犬の注目がトレーナーの目に移ったところで褒め、モチベーターを与える。
4.この時トレーナーから目を合わせるのではなく、犬の方から目を合わせるかたちにする。
アイコンタクトの習慣をつけるためには、「モチベーター」を活用するのが効果的です。まずモチベーターの存在を犬に知らせ、容易に届かない高さで、しかもトレーナーと犬の目を結んだ戦場に来るようにモチベーターを持ちます。犬は終始モチベーターに注目しているため、自然にトレーナーの方向を見ていることになります。モチベーターがない状態でも、犬の名を呼べば目が合うようにトレーニングを続けます。
トレーナーはいろいろな状況下で、指示を与える前にアイコンタクトを行う習慣を持つようにしなければなりません。例えば、食事の際には犬の名を呼び、アイコンタクトが出来てから餌を与えるとか、遊具を与える前に、犬の名を呼びアイコンタクトを行うとか、「スワレ」「マテ」などトレーニングの指示の前に、まずアイコンタクトを行うなど、幼犬時から習慣として体得させるべきなのです。この習慣によって、犬はアイコンタクトから指示を待つ体勢となります。
また、笑顔で褒めることにより、アイコンタクトは楽しいものだと印象づけることも非常に大事なことです。
一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
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