トレーニングにモチベーターを活用する

トレーニングをする際、いかに犬のモチベーション(やる気)を上げるかについて悩んでいるトレーナーさんも多いと思います。そんな時、「モチベーター」を有効に活用することによって、犬の興味を引き、トレーニング効果を高めることができます。

モチベーターとは?


モチベーターとは、トレーニングの際に犬のモチベーションをアップさせたり、集中させるために使用される、「犬にとっての魅力的なアイテム」、つまり「ご褒美」のことを指します。

アイテムの種類はドッグフードから犬のオモチャまで、実にさまざまです。トレーニング初期の段階では「食べ物」である場合も多く、ダンベル、ボール、タオルなども使われます。

モチベーターの必要性


トレーニングとは、犬に何かしらのことを教えて、それを覚えてもらうことなのですが、この時にトレーナーが伝えたいことが、きちんと犬に伝わることが大切です。何が正解なのかを、態度で褒めてあげることやご褒美で示してあげることで、犬が「これが正解なんだな」と理解しやすくなります。

モチベーターを使うことにより、犬の学習意欲が増したり、学習の速度が速くなることも見込めます。特に新しいことを教える時や、フォーカスしたいことがある時、または苦手なことを克服させる時などに特別なモチベーターを与えるようにすると、より効果的です。

モチベーター選びと出すタイミング


またモチベーターは、その犬にとって好きなものでなくては意味がありません。例えばモチベーターが「食べ物」である場合、好きなのはジャーキーなのか、チーズなのか、ササミなのか、などということを、よく知っておく必要があります。

モチベーターを「出すタイミング」もとても重要です。例えば「マテ」と指示を出している最中にモチベーターを使ってしまうと、犬は動いてしまいます。トレーニングには一連の流れがあり、不適切なタイミングでモチベーターを使ってしまうと、せっかくの流れをストップさせる結果に繋がってしまいかねません。必要な時に適切なモチベーターを使うことが肝心なのです。

モチベーターの効用


日本では長い間、犬のトレーニング時にモチベーターなどのご褒美(特に食べ物)を使うことを恥ずべきこととする考え方が根強くありました。しかしトレーニングの先進国では、「モチベーターを有効に使えないのは初歩である」という考え方が一般的です。そこには「強制」トレーニング文化圏と、「誘発」トレーニング文化圏の大きな隔たりが見て取れます。

トレーナーがモチベーターを隠し持っていることは、犬はちゃんと知っています。「このトレーニングが終わったら、〇〇をもらえる」と分かっているのです。

犬はモチベーター欲しさにトレーニングの科目をこなしていきます。それは犬にとっては、科目を終了したことで与えられる「ねぎらい」を遥かに越えた意味があります。これを生かして、モチベーターに対する狂気に近い期待を持たせることで、トレーニングの水準を高めていくことが出来ます。

モチベーターで誘導する


子犬に基本姿勢を身につけさせる際には、モチベーターを利用して、子犬と遊びながら「スワレ」や「フセ」、「タッテ」など、将来マスターすべき姿勢に誘導します。トレーナーは、犬の姿勢が「スワレ」などの位置に来た一瞬をとらえて声符を与え、犬を正しく静止させ、充分に褒めて、再び遊びます。すると、子犬は楽しみながら基本姿勢を身につけます。

モチベーターを利用して、犬が習慣的に左脚側に来るように仕向けることで、脚側行進(人の左脚側に、人の膝と犬の肩端が平行になる位置を保ちながら歩行すること)や、脚側停座(犬がトレーナーの左脚側に停座すること)などの精度を高めることができます。

トレーナーはモチベーターを常に上着の左ポケットに入れておき、モチベーターを与える場合には、犬が左脚側に来るように仕向け、左ポケットの位置で与えるようにすると良いでしょう。



一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
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