ドッグ・ラン

ドッグ・ラン(Dog・run)と呼ばれる犬専用の公園が内外で話題を呼んでいます。ドッグ・ランは、都市部で飼育される犬の運動場としてニューヨークに始まったものですが、今では日本でもあちこちに作られるようになりました。

ドッグ・ランが出来た背景


アメリカではニューヨークのセントラルパークで、市当局が公園での犬の放し飼い(リードを放つこと) の規制を強化したことにより、逮捕者が出る騒ぎとなりました。犬が特に苦手という人でなくても、リードを放たれた大型の犬が自分のすぐ近くを歩き回るというのはあまり気持ちの良いものではありません。ニューヨークでは放し飼いはもともと条令で禁止されているのですが、苦情と事故の増加にたまりかねた市の公園当局が、午前9時以降の放し飼いの摘発に本格的に乗り出したのです。

また、公園での傷害事故に関して公園管理者の責任を追及されるケースが多くなっていることも、取り締まり強化の理由になっています。

ニューヨークのドッグ・ランは公園の一角をフェンスで区切ったものが多く、「この内側に限り合法的に犬を放して走らせることができる」という標識が出されています。

このような犬と人間の事情を背景に、マンハッタンには多くのドッグ・ランが設けられているのです。


ドッグ・ランの現状と課題


人の居住部に近い公園のドッグ・ランは、犬の鳴き声に対する苦情もあって、使用時間を短めに設定しています。

小型犬のためのエリアを別に設けたドッグ・ランや、会員制で会費が必要なドッグ・ランもあります。会員制のドッグ・ランは毎日洗浄され、2週間ごとに殺菌されているようです。

一部のコンクリート床のドッグ・ラン以外は木材チップを敷き詰める方法が採用されましたが、伝染性疾病の広がりを避けるために定期的にチップの入れ替えが必要で、設備面の課題も少なくありません。

ほとんどのドッグ・ランは、ボランティアの助けを借りることによって一般愛犬家には無料で公開されています。今後アメリカでは、都市部の公園計画には自動的にドッグ・ラン設備を組み入れていく動きがあります。

ドッグ・ランの使用規則


1 . 犬の排泄物の後始末をすること。
2 . 付き添いのない犬の置き去り禁止。
3 . シーズン中の雌犬の利用禁止。
4 . 犬の喧嘩禁止。
5 . フードを与えることは禁止。
6 . 12歳以下の子供の立入禁止。
7 . 犬には免疫付加(予防注射)がされていること。

ドッグ・ランの広さはさほど大きいものではありませんが、多数の犬が混在していても一応の秩序は保たれています。運動スペースの適所にはべンチが配置され、付き添い人が犬を見守っており、排泄物を収容する大型の容器も準備されています。

日本のドッグ・ラン


日本では公園に犬を入れることを規制する自治体が多いのですが、近年ではドッグ・ランの整備も進んでいます。公営の例としては東京都が駒沢オリンピック公園、神代植物公園、小金井公園、舎人公園、城北中央公園、代々木公園などに設置し、公開しています。

ドッグ・ランの役割


ドッグ・ランには、単に「犬のストレス解消のための運動場」という位置づけ以上の側面があります。

実は、住民から行政への苦情で一番多いのがペットに関するもので、その多くは飼育者のマナーの欠如に由来するものです。加えて昨今、人体(子供)への回虫移行症の感染源として、犬や猫の糞によって汚染された公園の砂場がやり玉に上がっています。「糞を持ち帰りましよう」の石板には、単に美観を損なうというレベルではない深刻な意味があるのです。


一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
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