ペットの糞公害

欧州の先進国では公園に犬の排泄物専用のポストが設けられており、ペット文化のレベルの高さが伺えますが、しかし一方で、置き去りにされた排泄物も決して少なくありません。フランスでは、犬の散歩時にゴミ袋を持っていく習慣すらないようです。


フランスの取り組み


現在パリでは犬の糞公害追放のためにシノネット、カニネットと呼ばれる新しい道具が登場しています。

シノネットは、芝刈り機のような装置で路上の糞を吸い取り、ビニール袋に収める仕組みで、取った後に消毒液を散布します。カニネットは掃除機状の吸引装置を取り付けたバイクで、バイクにまたがったままノズルを伸ばして排泄物を吸い込む仕組みになっています。失業率の高いフランスでは、この仕事は若者の間で人気があるようです。

市清掃局によると、近年ドッグフードの普及によって犬の排泄物が柔らかくなり、ほうき状の用具では役に立たなくなったのだそうです。都心部では早朝に放水車が現れ、車道に落ちている糞を下水に流すシステムも確立しています。

パリ市は毎日4トンの糞を収集することで、日本円に換算して年間約8億を支出しているそうです。

この4トンという量は、パリ市にいる20万頭の犬が1日に産する糞25トンのうちのわずか14 %に過ぎません。それにもかかわらず、この作業が続けられているのには別の理由があります。

実はパリ市では、糞を踏んで滑って転んだための骨折などの事故が多発しており、ケガをした人が公園などを管理する市を相手取って訴訟に発展するケースが多く、この賠償金の支出額と糞の収集費用を比較した場合、後者のほうが得策と考えたのです。

パリ市の条令では、路上に糞を置き去った者には15 ,000円~30,000円の罰金を課すことになっており、現行犯で捕えるために私服の捜査員が散歩中の犬と飼い主を尾行しているそうです。

ドイツの取り組み


ドイツでは、街頭に放置された犬の糞に対処するため、当局が糞のDNA検査を行って「容疑犬」を特定して、飼い主に罰金を科すという奇抜な方が考えられています。

ドイツで飼われている犬は、全てマイクロチップの装着が義務付けられており、犬の情報はもちろん、飼い主の情報も記録されています。

ドイツでは、街頭などにペットの糞を放置した場合、飼い主は30ユーロから40ユーロの罰金を科されることになっていますが、現行犯での立件が困難で、実際に罰金を科せられるケ一スはほとんどないといいます。

日本の取り組み


日本でも高速道路のパーキングエリアで犬の糞専用ボックスを見かけるようになりました。しかしまだまだ公園や街角に犬の糞専用のゴミ箱が普及しているとはいえず、公園のゴミ箱に「犬の糞お断り」と記されている程度が現状です。

公園のゴミ箱に犬の糞を捨てることが出来ない理由は、公園を管理する役所と、一般廃棄物(犬の糞)を処理する役所が異なることによります。行政にはもっと現実的な取り組みを期待したいものです。

民間企業は対応が早い


日本の犬の飼育形態は転換期を迎えており、犬は家族とともに外出することが当たり前のようになりつつあります。日本では、民間企業のほうが、行政に比べれば対応が早いといえそうです。

航空会社は犬連れの乗客に配慮して、ペットの受け渡し窓口を従来の荷物扱い所から人の搭乗受付カウンターの並びに移設していますし、観光地のホテルや旅館も「ペット可」の割合が急増しており、ドッグカフェと呼ばれるペット同伴者向けの飲食店やドッグランも人気を集めています。また、犬を乗せる場合のネットやケージを固定する器具が装着されているレジャー用途の乗用車に増えてきました。

このようにペットと人が外出する際の不便はなくなる方向に向かっていますが、ペット飼育人口の増加がペット飼育マナーの向上と連動しているとは考えられず、着実に増えているのは、飼育する人としない人の間のトラブルだといえます。

プームとはいえ、国民すべてが 「愛犬家」 という訳ではなく、ペットと社会との共存方法が模索されているのが現状といえるでしょう。


一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
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