犬の「リーダーウォーク」と「脚側行進」

犬社会では、先頭を歩くのはリーダーであり、メンバーはリーダーに付き従います。そのため、「飼育者がリーダーシップをとって歩く」という、このリーダーウォークのトレーニングは、飼育者と犬の間での明確な主従関係を確立するために有効といえます。


犬が自由に動き回ることができる状態というのは、拾い食いや他の犬への飛び掛かりなどを誘発し、時として思わぬ事故につながってしまうこともあり、大変危険です。リーダーウォークには、そのような事故に巻き込まれることを予防する効果もあります。

また、犬が首輪をつけた状態で無理にリードを引っ張ったり、飼い主が無理に犬を引き戻そうとすると、犬の脳や首などにさまざまな悪影響が出る可能性もあるため、リードウォークは犬の健康を守るためにも重要と言えます。

リーダーウォークのトレーニング


リーダーウォークとは、犬が飼い主から付かず離れず寄り添って歩くことをいいます。「リーダーウォーク」という言葉は和製英語で、正確には「Loose Leash Walking」と言い、「引き綱が緩んだ状態での歩行」を意味します。飼い主の持つリードが軽くたるんでいるくらいが理想的といえます。

リーダーウォークは脚側行進の前段階と位置付けられるトレーニングで、常に飼育者がリードして歩きます。その際、犬の意志は無視することが重要です。

トレーニングに際しては、犬が望ましい行動「犬が飼育者から離れず寄り添って歩いた」時に褒め、犬の望ましくない行動には無言、無視して、飼育者主導で歩き出すようにします。飼育者が犬に引っ張られて歩く状態では、犬が自分をリーダーだと勘違いすることになりかねないからです。

飼育者が方向転換をする時にも、無言で行うことが重要です。犬が飼育者よりも前に出ようとしたらUターンし、犬が右へ曲がろうとしたら左へ曲がり、強制的に犬を従属させるようにします。

そのように飼育者主導で歩行することで、犬がその時々で望ましい行動に気づき、社会に適応する能力を身につけるようになるのです。

脚側行進


初めて犬にリードをつけ散歩に出ると活発な犬は真直ぐ歩かなかったり、左右に引っ張って苦労をします。犬が人間の歩調に合わせて歩く事は簡単なように思われますが、自由に走り回る事を望んでいる犬にとっては意外に重荷となります 。

このような状態を放っておくと、成犬になった時、中型犬以上では女性や子供ではとても散歩が無理の状態となってしまいます。

犬が常にリーダーに従って歩くトレーニングである脚側行進は、すべてのトレーニングの基本となるものであって、前述のリーダーウォークをより高度に完成させたものと言え、様々なトレーニングの中でも最も重要なものと考えてよいでしょう。

あらゆるトレーニングを始める際、その開始に先立って脚側行進からスタートすると、犬の気持ちを集中させ、日常生活とのけじめを付けてトレーニングに臨ませることにもなります。

この習慣をつけることによって、日常の散歩中に簡単なトレーニング科目をこなしていくのにも好都合です。

脚側行進の視符と声符


脚側行進の視符は、軽く大腿部を叩くことです。
声符は「アトエ」「ヒール」などが使われます。


一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
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