アジリティは、英国をはじめ、各国に競技ルールが紹介されている「犬の障害物競技」のことで、英国ではクラフト・ドッグ・ショーでアトラクションとして登場以来、近年盛んに公式競技会が開催されています。
英国ケネル・クラブのルールブックでは、「飼い主、犬、観客がともに楽しめること」と規定されており、従来の訓練競技会とはその方向性を異にしています。
クラフト・ショーでのアトラクションは、国外からの見学者に、改めて英国の犬のトレーニングレベルの高さを認識させる結果となりました。
昨今、日本でも各地でアジリティ競技会が開催されつつあり、アマチュアハンドラーが犬と一緒に楽しめるスポーツとして注目され始めました。
アジリティ競技
「アジリティ」とは、英語の意味通り「敏捷性」を競うもので、飛ぶ、跳ねる、くぐる、登る、などいろいろな障害を完走することを競技化したものです。
競技はもちろんノー・リードで行われ、競技中にハンドラーが犬体に触れる事は禁止されているため、出場犬には高度な服従性能と運動能力が要求されます。
サーキットの全工程は100~200m程度、クリアすべき障害の数は10~20個で、障害の配置や順序は競技会ごとに当日決められます。
ハンドラーによるスタート前の検分は許されますが、当日のサーキットで犬とともに練習することは許されていません。
このため犬にとっては、実際のサーキットで練習なしで挑戦することになります。つまり、犬はハンドラーの与える指示によって順次障害をクリアしていかねばなりません。
アジリティのサーキットの各障害は、それぞれ単独では容易にクリアできるものであっても、その配置や順序は競技会ごとに異なるので、ハンドラーの指示が確実に犬に伝わらなければ決して完走できるものではありません。
アジリティ出場を目的とした場合、極めて質の高い相互的なトレーニングが必須で、ハンドラーの声符・視符によって犬を確実にコントロールできる服従訓練が不可欠です。
アジリティ競技に通用な服従科目は、脚側行進、正確なターン、スワレ、マテ、タテ、コイ、フセの他、ミギ、ヒダリ、イケ、トベ、などでそれぞれ声符・視符によって完全にハンドラーに従うようトレーニングしなければなりません。
アジリティの練習
アジリティ競技は、その性質上、犬に相当の基礎体力を要求する競技です。肥満気味で日常十分な運動を行っていない犬にとっては、飛ぶ、跳ねるなどの動作は脚や関節に大きな負担となります。
体重が重く、それらを支える体力が充分でない犬は、着地時に関節に受ける負担を自ら知っており、明らかに跳躍の動作を嫌うことがあります。
これらの犬を、無理やりアジリティの障害に挑ませることは、骨折や打撲の原因となるので注意が必要です。
これらの事故を予防するためにも、トレーニングを行う場合は柔らかい土の面を選ぶべきです。
基礎体力が重要
アジリティは人と犬が楽しく行うスポーツであって、基礎体力の不充分な犬に各課題を強制するトレーニングの方法では、犬にとって苦痛を伴うものとなってしまいます。
アジリティのトレーニングを成功するためには、トレーニングに充分耐え得る基礎体力作りを目指さなければなりません。
散歩を有効に活用する
アジリティに参加するための基礎体力作りは、日常の散歩を有効に活用し、強化することから始めます。
日常の散歩の速さから徐々にスピードを速め、時々速歩や駆け足を取り入れ、日々距離も長くして持久力を養っていきます。
無理強いはしない
アジリティは練習時であっても、体力の限界に挑戦するような場面が少なくありません。犬の健康管理が充分に行うことが重要であるとともに、無理強いすることによる事故の防止には最大限の注意を払わなければなりません。
犬は頭で理解する動物ではないため、コースで恐怖心を抱かせるようなことがあると、これを払拭し、再びコースに戻すまでに極めて長い時間を要することになります。
犬と人の共同作業
アジリティは、犬と人との共同作業で成り立つスポーツであり、結果だけを競うドッグレースではありません。このため競技会場では、犬と人のコンビネーションに対して惜しみない拍手が送られるのです。
一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
わんわん相談員の詳細はこちら