犬のトイレのしつけ

家庭で飼育される犬のトレーニングの中で、最も基本的なのがトイレのしつけです。トイレのしつけは、室内で飼育する場合には特に早期に習得させる必要があり、家庭に犬を迎え入れた当日から開始しなくてはなりません。


巣の中では排泄しない本能を理解する


あらゆる動物は、本能的に自分の寝床の近くを清潔に保つように行動し、巣から遠い場所で排泄を行うという習性があります。これは外敵に対する巣の防衛と、細菌や寄生虫などの感染源を遠ざけるための本能による行為と考えられます。

このためトイレのしつけは、犬のとっての「巣の範囲」を正しく認識させることから始めるのが効果的です。

例えばある部屋の内側全てを巣と認識した犬は、その部屋の外で排泄するようになりますし、屋内全てを巣と認識した場合には、散歩など屋外へ出た時にのみ排泄するようになります。犬の飼育場所や排泄させる場所を決める際には、このような犬の生理行動を充分に考慮して決める必要があります。

トイレのしつけが完全に終わるまでは、子犬の室内での行動範囲を制限する必要があります。1部屋の範囲内とし、広すぎないサークルなどを寝床として使用させます。

トイレは寝床(巣)からやや離れた一定の場所に定めます。将来的には、人間の生活にとって都合の良い場所を恒久的なトイレの場所と決めるべきですが、トイレのしつけの初期には、子犬の行動範囲内の一定の場所を仮のトイレと定めます。そこに、あらかじめ市販の犬用トイレやトイレシーツ、または新聞紙などをセットしておきます。

排泄のタイミングを見てしつけをする


子犬と充分に接触し、その行動を細かく観察していると、排泄前の定型的な動作によって、排尿、排便を予知することができます。

排尿の前兆としては、床や畳の匂いを嗅ぎながら、落ち着きなく動き回り、急に立ち止まります。子犬は通常2時間くらいの感覚で頻繁に排尿し、眠りから覚めた直後も排尿します。これらの時がしつけのチャンスとなります。

排便の場合も、排尿と同様に前行動を経て、急に一定の場所で止まります。そして前肢を軸に回転する動作を見せ、直後に排便します。一般的に、子犬は餌を与えた直後に排便することが多いので、このタイミングがしつけのチャンスです。

排泄の前に見られる動作が始まったら、素早くトイレの場所に連れて行き、排尿排便を見届けます。排泄中に決まった声符をかけることにより、排泄と声符の関連を理解するようになります。また、トイレで排泄をしたら、声をかけながら充分に褒めてあげましょう。

トイレ以外の場所で排泄した時は


排尿、排便をトイレ以外の場所でしているところを目撃した場合には、注意が必要です。叱るにはタイミングが大切であり、場合によっては逆効果になることもあるからです。

外出して戻ってみると、トイレ以外の場所を汚しているということは多いものです。その場合、飼い主の帰宅を喜んでいる状況下で叱るというのは、犬にとってはどうして叱られたのか理解できない場合があります。トイレ以外の場所で排泄したことが悪いと理解していない場合、飼い主の帰宅を喜ぶことで叱られたという理不尽な思いをしてしまうからです。

排泄の行為そのものを叱られたと解釈させるようなことがあると、人目につかない場所で排泄する悪癖を持たせることにも繋がります。

また、一度トイレ以外の場所で排尿、排泄をしてしまうと、同じ場所で再びすることがありますので、きれいに拭き取り、消毒薬などで臭いを消す必要があります。

繰り返し粗相をする時には


もしもトイレ以外の場所で繰り返し粗相をする場合には、飼い主が定めたトイレの場所が適切かどうか考えてみたり、トイレに乗るたびに大きな音がしたり、不安定ではないかなどをチェックしてみて、必要があれば再検討します。同時に「犬が決めた場所」へトイレを移動するということを検討してみてもよいでしょう。


一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
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