原生動物を除くすべての動物では、運動は筋細胞の働きによって起こります。筋肉は骨格に付着したり内臓壁を形成して全身に分布しています。筋肉は随意、もしくは不随意の神経刺激により収縮運動を起こします。
筋肉は収縮運動の他、物質分解や合成などの化学反応に関与しており、動物の体温を維持するための熱を産生する最も主要な器官でもあります。筋肉が産生する工ネルギ一の約25%が筋肉運動によって消費され、75%が熱エネルギーとして体温維持に供されます。筋肉はその構造と収縮運動の仕組みによって、「骨格筋」「心筋」「平滑筋」の3つに分類されます。
骨格筋
骨格筋は動物体重の50 %近くを占める生体内最大の組織で、運動神経の支配下にあり、動物の意志で動かすことができる随意筋です。
骨格筋の最小単位は筋原線維で、筋原線維が多数集まり束となって筋線維を作ります。骨格筋の筋線維は直径0.01mm ~ 0.1mm、長さ数ミリ~数十センチの円筒状です。数千の筋線維が集まって筋線維束となり、さらに筋線維束が多数集まって1つの筋肉を形成します。
骨格筋の筋原線維には、明るく見える部分 (明帯) と暗く見える部分 (暗帯) が交互にあり、規則的な横紋を形成することに由来して「横紋筋」とも呼ばれます。筋線維の両端は筋内膜で結合し、さらに筋肉の両端で細い束となり腱に移行します。腱は収縮性を持たない強靱な組織で、骨格筋と骨を繋いでいます。
大部分の骨格筋の基本的な形態は紡錘形で、中央が脹らみ両端が細くなっています。筋の付着部位によって、体の中心線に近く固定された方を起始 (筋頭) といい、体の中心線から遠く可動的な方を停止(筋尾)といいます。
筋肉はその形によって長筋、広筋、円筋、三角筋、僧帽筋などの名称が付けられている他、作用や結合状態によっても分類されています。
骨格筋の役割
動力源として
動物体内で化学的エネルギーを消費し、 力学的エネルギーを得ます。
運動作用
筋収縮によって筋が付着する骨格が移動する。 関節の屈曲や伸展が可能です。
熱源作用
筋収縮に使用されるエネルギーが熱として放出され、 動物の体温を上昇させます。
力学的衝撃からの保護作用
転倒、打撃などの衝撃を吸収し骨や内臓を保護します。
ポンプ作用
筋が収縮と弛緩を繰り返すことで循環器系の還流を促進しています。
心筋
心筋は心臓だけに存在する筋肉です。
心筋を形成する心筋線維は、骨格筋に比べ細く短い細胞です。心筋線維は分岐して、隣接する線維と結合するため網目状をなします。心筋は自律神経の支配下にある不随意筋で、動物の意志による制御はできません。心筋は自動収縮を行い、自動的に絶えず働いています。また横紋も認められます。
平滑筋
平滑筋は腸や血管壁、気道などあらゆる場所に存在します。
平滑筋を形成する筋線維は、心筋よりもさらに短い紡錘形の細胞で、結合も密ではありません。平滑筋は骨格筋と比べ収縮反応が遅く、収縮力も弱いものです。平滑筋は自律神経の支配下にある不随意筋で、ホルモンによってコントロールされています。外見は平滑で、横紋は認められません。
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