犬の食事に関するしつけは、排泄のしつけと同様、日常的に重要なものであり、トレーニングの内容も様々です。
例えば犬が散歩中や家の中で何か食べ物を見つけたとします。その時に、食べ物が多少傷んでいても犬が気にせずに食べれば、お腹を下す原因になります。そのような場合に食事のしつけが出来ていれば、勝手に食べるようなことはせず、飼い主に許可をもらえるまで待てるようになります。
犬の食事のトレーニングには、犬が食べ物を目の前にしても、飼い主の許可が出るまで待つ「マテ」の状態が保てるようになるなど、次に挙げるいくつかの科目があります。
①飼い主が許可するまで食べない
このしつけは、犬が自分の欲望をコントロールして飼い主の命令に従うという重要な基本トレーニングの一つです。
エサを入れた器を持ち、犬と向き合い、「スワレ」を命じて犬の前に食器を置きます。「マテ」の声符と視符を与えます。すぐに食べようとしたら、食器を取り上げ、「スワレ」「マテ」を繰り返します。
しつけの初期では、ごく短時間「マテ」が出来たら、充分に褒め、「ヨシ」の声符で食べさせます。子犬の場合、食事に対する本能はかなり強いものですから、長い時間待たせないほうが良いでしょう。
②限られた時間内で食べる
いつでもエサがあるという状態は、腐敗による食中毒の心配があるとともに、飼い主に対する服従心の育成の面からしても望ましくありません。
また、犬の前にエサを入れた食器をいつまでも放置しておくと、時間が経ってから再び食べ始める「遊び食い」という癖がつきます。これを防止するためには、食器を置いておく時間を決め、遊びながら食べさせないようにします。
食器を置いておく時間は、日常の様子を見ながら決めるべきですが、犬は通常20分もあればエサを食べ終わりますので、その時間が来たら食器を取り上げ、「この時間以外は食べることができない」と犬に理解させると良いでしょう。
③人が食べているものをねだらない
家族が食事をしている時に犬が欲しがった場合は、無視し、絶対に与えてはいけません。犬が顔や手をテーブルの上に出して来たら、手や鼻先を叩き、引っ込めさせるようにします。
もし家族の誰かが一度でも食べ物を与えてしまったら、犬は以後習慣的に要求するようになっていきます。いったんこの悪癖がついてしまったら、直すのは大変です。直すためには家族の強い心構えが必要で、全員で協力して犬の要求をはねつける以外に方法はありません。ですから、そのような癖をつけないよう、最初から与えないように気をつけることが大切です。
④拾い食いをしない
犬にとって食べ物の誘惑は非常に強いものであり、拾い食いをしないようにしつけるためには、繰り返しトレーニングすることが必要です。トレーニングは場所や日にち、さらには食べ物を変えて行うと良いでしょう。
犬が地面に落ちている食べ物に興味を持ち、食べようとしたら「イケナイ」の声符と同時に、リードを強く引き、首にショックを与えます。この場合、口に入れようとした瞬間に制止することが重要です。
徹底的にしつけるためには、通り道にあらかじめ犬が食べそうなものを置いておき、拾い食いしそうな状況を再現して、繰り返し教える方法が効果的です。この場合に使用する食べ物は、日常に与えているフードは使用せず、犬が食べることが好ましくない菓子などにします。日常のフードをトレーニングに使用すると、犬が混乱してしまうためです。
また、家庭内ではエサは常に決まった器から与えるようにし、食べ物を投げ与えたり、こぼれた物や落ちた物を口にしないことも、日ごろから習慣づけておく必要があります。
一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
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