盲導犬について

犬の優れた嗅覚を利用して警察犬として活用する方法は19世紀の末にドイツで始まり、第一次大戦中には優秀な素質を持った犬の計画繁殖が行われ、シェパード犬やドーベルマンなどの使役犬が軍用犬として盛んに利用されました。

盲導犬


盲導犬は、戦傷盲人の社会復帰を助けるためにドイツで誕生したもので、その後ヨーロッパ各地に広まりました。1929年には米国にも盲導犬を育成するシーイング・アイ協会が設立されています。

狩猟犬や番犬として、人は有史以前から犬の持つ本能を利用してきましたが、犬に特定の訓練を行うことによって、全く新しい有益な可能性を引き出すことに成功したといえます。

現在、アメリカで8 , 000頭、イギリス4, 600頭、ドイツ1 , 500頭、フランス1 , 500頭、オーストラリア490頭などの他、日本で1 ,043頭(2012年現在)の盲導犬が、目の不自由な人の自立生活の支えとなって働いています。

日本の盲導犬


1939年にアメリカから輸入された訓練済みの盲導犬が、日本における最初の盲導犬です。

実際に盲導犬の訓練が行われたのは第二次大戦後で、日本の「盲導犬の父」と呼ばれる塩屋賢一氏が、1957年に国産盲導犬第一号となる犬の訓練を完成させました。

これ以降、視覚障害者の積極的な社会参加を促進することを目的に、盲導犬の育成訓練と、視覚障害者への歩行指導、日常生活訓練が続けられており、現在は認可を受けた複数の盲導犬訓練団体が年間数十頭の盲導犬を送り出しています。

盲導犬訓練団体


国内に複数ある盲導犬訓練団体はそれぞれ独立した別々の団体で、団体毎に犬の訓練及び視覚障害者への歩行指導の基準も異なっており、団体間の不協和音が時おり聞かれることもあります。

1989年、塩屋氏主宰の「東京盲導犬協会」が「アイメイト協会」と名称を変更したことにより、現在「盲導犬」と「アイメイト」の両方の呼称が使われています。

盲導犬を1頭育て上げるためには多額の経費が必要とされ、国や自治体の援助の他、その財源は民間団体、企業や個人からの寄付行為によって賄われていますが、盲導犬訓練団体の収入を、作出した盲導犬の数で単純に割った金額が数千万円にのぼることに対する疑問の声もあります。

盲導犬と法律


日本の道路交通法は、目の見えない人が道路を通行する場合には白い杖を持つか、又は盲導犬を連れていることと定めています。また、ハーネスの色は白又は黄色と規定されています。

「公益法人において訓練された犬が、使用を希望する盲人とともに4週間以上の歩行指導を終了した後、ハーネスを付け、使用者証を所持した使用者本人と歩行する場合のみ盲導犬という。」との法律上の定義付けもあります。

盲導犬と社会認識


盲導犬は活動総数が少ないこともあり、日本では社会の認識と受け入れ体制が充分とは言えません。また、ペット犬との混同があってか、盲導犬の立入りや施設の利用を拒否されることも少なくありません。

平成14年5月、身体障害者補助犬法が成立し、平成14年10月から公共施設と公共交通機関、平成15年10月から民間施設に対し、盲導犬を含む身体障害者補助犬の受け入れを義務づけています。

盲導犬の利用


盲導犬は、ひとりで歩くことのできる18才以上の視覚障害者が無償で利用できることになっています。

盲導犬の利用希望者は申込手続きを行なった後、訓練センターに約1カ月程度入所して歩行指導を含む盲導犬との共同訓練を受けることになっています。この間、利用者は犬との共同生活を通じて、犬の食餌管理や被毛の手入れ、シャンプーを含む世話の方法なども学ぶことになります。

ボランティア活動


盲導犬の育成はプリーディングから、リタイヤ後のケアーまで多くのボランティアによって支えられています。

◆ブリーディグウォーカー
盲導犬としての資質にすぐれた繁殖犬を預かり、子犬の出産から育子を担当するボランティア。

◆パピーウォーカー
盲導犬候補の子犬の飼育ボランティア。

◆キャリアチェンジウォーカー
盲導犬に不向きな犬の飼育ボランティア。

◆リタイヤ犬ウォーカー
引退後の盲導犬を終生飼育するボランティア。

これらボランティアの働きによって、盲導犬の供給体制は成り立っています。


一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
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