盲導犬の訓練と適正

日本で盲導犬として最も多く使われている犬種はラブラドール・リトリバーで、一時期盲導犬の大半を占めたシェパード犬は、感覚がデリケート過ぎることや、周囲の人が恐れることもあって減少気味となっています。

また、ラブラドール・リトリバーの中でも、盲導犬にはイエローの被毛色のものが多用されており、その理由はイエローは夜でも目立ちやすいことと周囲に優しい印象を与えるからです。

盲導犬の育成


盲導犬になる子犬は盲導犬に必要な適性を備えた両親犬 (主として輸入犬) から計画的に繁殖され、生後2ヶ月齢に達した出産子犬の中から候補の犬 (一般的に雌犬) が選抜されます。候補となった子犬はパピーウォーカー (飼育奉仕者) と呼ばれるボランティアの手によって約1年間、一般家庭環境の中で育てられます。

パピーウォーカーの条件は下記の通りで、これらを満たす必要があるとされています。

( 1 )家庭が留守がちでない

( 2 )家庭に子供が居る

( 3 )他の動物を飼育していない

( 4 )家族が見える場所で飼育する

( 5 )庭がある


盲導犬としての適正


パピーウォーカーの家庭では排泄のしつけ以外には特に訓練をすることなく、情緒の安定を第一義に育てられます。しかし、過分な愛情をかけることや、逆に特に厳しくすることは、優れた盲導犬に育て上げるためにはマイナスとなります。

生後1年前後に達するまでに、性格的な欠陥を持つ犬や、身体的に不適格な犬は外され、さらに音に対する反応が過敏であったり、逆に鈍感であっても盲導犬としての適性を欠くことになるとして除外されます。

盲導犬の訓練


パピーウォーカーから訓練所に戻り、盲導犬としての適性を認められた犬は、避妊、去勢の手術を受け、その後本格的な訓練が開始されます。

盲導犬の訓練は、服従訓練を経て実際にハーネスをつけ、人を誘導する訓練へと続きます。そして曲がり角を教えるために立ち止まることや、路上の障害物をよけ、段差や階段を教え、電車の空席やドアのノブを鼻先で示す、などの訓練を重ねます。

盲導犬に 「高所の障害」 を認識させることは非常に難しく、犬の通過には邪魔ではなくとも人にとっては危険な高い位置の障害についても察知し、回避させる訓練が行われます。

不服従


盲導犬に対し特別に教えられる科目に「不服従」があります。盲導犬は人に危険が迫った場合には、その命令にあえて背いて危険を回避するよう訓練されるのです。

盲導犬訓練の声符


盲導犬の服従訓練に使われる声符は、男女による差の少ない英語で行います。

それぞれ 「シット」「ダウン」「ウェイト」「カム」「フェッチ」「ステイ」「ヒール」の声符を使う他、主人が求めるものを捜させる指示も 「チェアー」「ドアー」などの英語を用います。

盲導犬としての期間


盲導犬として働くことのできる期間は8年前後です。盲導犬として働けなくなった犬は、再びボランティアに引き取られ余生を送ります。

盲導犬訓練士


盲導犬訓練士とは、盲導犬訓練施設に入所(就職)して盲導犬訓練の技術を習得した訓練士のことで、盲導犬訓練施設内でのみ通用する呼称です。

「盲導犬訓練士」 はさらに経験を積んで 「盲導犬歩行指導員」 となり、視覚障害者への歩行指導に従事します。


一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
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