脚側行進中の「速さの変更」

トレーナーは、通常のペースで脚側行進できる犬は「速いペース」や「遅いペース」でも同じように行進できるものと考えてしまいがちですが、犬にとっては脚側行進のすべてのルールを守り、速さのみを変えて歩くことは容易なことではありません。


速さの変更


もし通常のペースの脚側行進中に突然速さを変えてしまうと、多くの場合は歩行が遅れてしまうなど、犬を振り回す結果となります。

速いペースや遅いペースの脚側行進のトレーニングの開始に際しては、通常のペースの脚側行進を教える基本ステップと同様の段階を経る必要があります。犬が自信を持ち、通常のペースで良い位置を維持できるまでは教えないようにします。

ペースの変更は、トレーニングの初期には行進の途中で命令されるべきものであり、スタート位置から行うべきではありません。また、たとえ普通のペースの脚側行進でも、犬が喜んで動くことに自信がつくまでは、停止からの脚側行進は始めないようにしましょう。

行進中のターン


ターンに関しても、同様の手順を経て教えます。

速いペースや遅いペースの脚側行進に喜んで自信がつくまでは、どのようなターンも一緒には行わないようにします。


トレーナーは、普通のペースの脚側行進が充分マスターされているかどうかを、速いペース、遅いペースの脚側行進を教える前に問い直す必要があり、トレーナーの気配りが必要となります。

トレーニングに際しては、同じ調子の声符を使い、犬を励まし、褒め、正確に歩けるようになったら歩数を増やしていきます。犬は通常のペースの脚側行進をマスターした時と同じように、異なったペースでの脚側行進も徐々に覚えていきます。

トレーナーの足さばき


脚側行進の速度の変更にあたって、トレーナーは一度、自分の足さばきについて考えてみることが必要です。速いペース、遅いペース、各犬それぞれに対するちょうど良いテンポを決めて、その速さに応じた足さばきをするようにしましょう。もちろん、犬の大きさによっても歩幅を変える必要があります。

トレーナーの声の調子


トレーナーは、ペースの変更をする際に声の調子を変えてはなりません。通常のペースと同様、歓喜にあふれ安定している声であるべきです。しかし多くのトレーナーが、速いペースでは甲高い声になり、遅いペースの時には重く神経質な声になりがちです。ペースを変更した場合も、通常のペースと同じ調子で明確な態度で接すれば、犬も同様に反応します。

速いペースの脚側行進


トレーナーは、犬の習得の程度に合わせ、速さの変化をつけていくようにします。無理に犬を引き回すようなトレーニングは、犬を不安にさせ、歩行の遅れのもとになってしまい、後に大きな修正が必要となります。

遅いペースの脚側行進


犬にとって遅いペースの脚側行進は不自然であり、犬を飽きさせますので、このトレーニングは大変な集中力を必要とします。そのため、犬が普通のペースと速いペースで確実に行進できるようになるまでは、取り入れるべきではありません。またトレーニング中は、犬が飽きたり不安になってしまうことを防止するため、充分に褒め、遊ばせるようにします。

犬がペースの変化に順応できない時には、トレーナーはそれぞれ中間の速さを取り、徐々に正しいペースに戻すようにします。


一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
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