最近 「ペットの飼えるマンション」が注目されています。
これらのマンションは、単に「ペットを飼っても良い」というだけでなく、より積極的な「ペットを飼うためのマンション」 という位置づけになっており、「ペットを飼うために転居して来た」という居住者も多く、実際に全体の80 %がペットを飼っています。
また、防音対策や床面の材質、ベランダの構造、足洗い場の設置など、ペットを飼育するための工夫も各所になされており、集合住宅でのペット飼育の多くの問題をハード面で解決しています。
ペット管理規約
これらのマンションには「ペット管理規約」と呼ばれる協定があり、管理組合の承認のもとに居住者のほとんどがペットを飼育し、ペットを飼育していない居住者も、他の居住者がペットを飼育することに同意しているので、管理規約が守られる限り際立ったトラブルは起こりません。
近年、新築される大型の集合住宅でも原則的に「ペット可」とする例が多く、自分がペットを飼育する予定はない場合でも、入居に際して「ペット管理規約」の合意を求められます。
規模の大きい集合住宅では、入居前にペットの飼養についての説明会やセミナーが開催されたりすることもあります。
「ペットの飼えるマンション」が増えてきた背景
公団や公営をはじめとする日本のほとんどの集合住宅では、管理規約によってペットの飼育を原則禁止しているところが多いのが現状です。
しかし、実際には管理規約に反してペットを飼育する例も多くあり、最近では管理組合が居住者を相手取って起こした飼育差し止め訴訟の顛末が、マスコミで大きく取り上げられたこともありました。
管理規約に「ペットの飼育禁止」と明記された集合住宅の例では、「集合住宅で犬を飼うことは入居者の共同の利益に反する」として、管理組合側の勝訴が続いています。
現実的な問題の解決策として、管理規約の改正によって新たに条件付きでペットの飼育を可能にする集合住宅も見られますが、そのことが飼育派と非飼育派住人の深刻な対立を生む結果にもなっています。
このように「原則禁止」が一般的であるからこそ、「ペットと暮らせるマンション」が話題となり注目されているのです。
このような世相を反映して、「ペットも泊まれる〇〇」や「ペットも入れる△△」など、増加する一方のペット愛好家をターゲットとする業界も多くなってきました。
動物飼育の意義とルールづくり
平成4年7月、東京都知事の諮問機関である東京都動物保護管理審議会から「東京都における動物の適正飼養の推進策について」の答申が出され、集合住宅における動物の飼養についてのルールづくりの必要性が提言されました。
動物を介した心と体の健康づくり (アニマル・セラピー) や人と動物の絆 (ヒューマン・ アニマル・ボンド) の重要性が認識され、さらに盲導犬などのサポート・ドッグを必要とする人々の配慮も求められる昨今、集合住宅での動物飼養の 「モデル規程」が示されたことは極めて意義深いといえるでしょう。
このモデル規程では、集合住宅での動物の飼養は、飼養を希望する居住者、飼養しない居住者、管理組合又は貸し主など関係者の合意を前提とするとしており、動物飼養に際するトラブルの防止に重点を置いた内容となっています。
東京都が示したこの 「モデル規程」 はペット専従者が心得るべき現代社会における動物飼養に関する基本ルールといえるものです。
(参照法規「集合住宅における動物飼養モデル規程」)
一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
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