AAA(動物介在活動)について

AAA活動を行う場合には、セラピー対象者、施設スタッフ、ボランティアの3者にセラピー動物を加えた相互の関係が良好に維持されることが重要です。

施設スタッフとボランティアとの役割り分担は事前に打ち合わせされていて、参加予定のセラピー対象者についての必要な情報も得ていなければなりません。

活動が終始なごやかな雰囲気で進み、セラピー効果をあげることができるかどうかはボランティアの能力に負うところが大きいと言えます。

事前打ち合わせ


AAA活動に先立って開催当日の進行について施設側とボランティア側の間で綿密な打ち合わせを行います。打ち合わせの基本となるのは、施設スタッフから示される当日のセラピー対象者についての情報です。

セラピー対象者の年令や性別、身体や精神の健康状態、日頃の対人関係、特別に留意すべき事柄の他、過去にセラピー動物と接したことがあればその経過、本人の希望などを聞き取ります。これらの情報は当日のセラピー動物の選定、ボランティアの配置計画などに反映させます。

打ち合わせの内容に従ってボランティア側は、セラピー動物の手配、参加するボランティアや会場で必要な器具備品類を確保して、当日の進行計画を立てます。当日参加予定の動物種や頭数、ボランティアの氏名など、必要な事柄は事前に施設側に 「AAA活動計画書」 のような形で報告しておきます。

当日参加する動物の写真やプロフィールなどを事前に提供することができれば、施設での入所者に対する掲示物を作りやすいでしょう。また、施設側の承諸が得られれば、実際の活動場所に関係者に集まってもらい、下見も兼ねて「事前ミーティング」を行うと良いでしょう。

セラピー動物


訪問施設の状況、セラピー参加者の人数や心身の健康状態などを考慮して、セラピーに使う動物の候補を選定します。特定のセラピー参加者について医療関係者や施設側からの要請がある場合には条件に適合する動物を選定します。

セラピー動物に求められる安全と衛生


1、人との親和性に優れていること。
セラピー参加者に危害を加える可能性がないこと。

2、 ボランティアによって確実にコントロールできること。
他人や他の動物が近くにいてもボランティアの指示に従うこと。

3、 健康が確認されていること。

人畜共通感染症や体内外寄生虫の伝播の可能性がないこと。
(参加動物の健康状態については診断書による証明が求められる場合もある)

動物アレルギー


AAAで医療施設や高齢者施設を訪問する場合には、セラピー参加者の動物アレルギーに注意しなければなりません。AAAで使用されることの多い動物の内、猫や犬に対してアレルギーをもつ人は比較的多く、他にウサギ、鳥類が原因のアレルギー症例もあります。

免疫反応は体内に侵入した異物 (抗原) を排除するために働く生体にとって不可欠な生理機能で、アレルギーとは免疫反応が特定の抗原に対して過剰に起こることを言います。

アレルギーを引き起こす抗原をアレルゲンと呼びます。動物に由来するアレルゲンは動物自体から出たフケ、体毛、だ液、フン、羽、血液成分などです。さらに動物のフケを餌とするダニが増殖し、そのダニの糞がアレルゲンとなって発症するケースも多くあります。

これらのアレルゲンが人間の体内に入ることでアレルギー反応を起こします。アレルギーの症状はくしゃみや鼻水、じんましん、顔が腫れる、皮膚が痒くなる、発熱、ひどい場合には気管支喘息やアレルギー性鼻炎、呼吸困難などを引き起こす例まであります。

動物アレルギーは自覚症状がなくても、動物に近づいたり、触ったり、動物のいる部屋に入ったりするだけで症状が出ることがあります。AAAで使用される動物は直前にシャンプーやプラッシングを済ませ、皮膚を清潔に保ち、フケの飛散や体毛が抜け落ちることを防止する必要があります。

アレルギー発症にはセラピー参加者自身の体調も関係し、人の体調が悪い時には免疫力が低下し、アレルギーが発症しやすくなります。

雰囲気づくり


会場はなごやかな雰囲気に終始して、セラピー対象者と動物がゆるやかに触れ合うことができる気配りが必要です。また、セラピー対象者との会話は対象者のペースに合わせ、ボランティアは聞き役に徹することも重要です。

動物に関する思い入れ、思い込みは人によって大きな差があるもので、持論の応酬になるようなことは避けなければなりません。

特定のセラピー対象者がボランティアにとって苦手なタイプであったり、セラピー対象者がボランティアに対し不機嫌な態度を示すことも珍しいことではありません。

このような場合であっても、ボランティアはセラピー対象者のすべてに平等に接するべきで、差別を感じさせるような対応があってはなりません。また、いかなる場合もセラピー対象者にストレスを感じさせたり、セラピー対象者に忍耐を要求するような場面があってはなりません。

セラピー対象者の疲労、動物たちのストレスの蓄積を考慮して、活動は1時間以内に終わるようにします。会の終了後は、会場の他にも、動物を移動させたルートにそって清掃や消毒を行います。

記録に残す


セラピー対象者のプライバシーに配慮した上で、AAA活動で疑問に思ったり気がついたことを記録に残すことは大変意義のあることです。

これらの記録は活動記録という側面よりも、関係者にとっては当日の反省、改善点を見つけるための資料となり、蓄積された記録は将来的には、より良いAAAを模索する上で重要なデータとなるからです。


一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
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