アメリカン・ケネルクラブ(A K C)では、犬種を、基本的にイギリスのケネル・クラブ(KC)の分類区分を踏襲した上で、7つのグループに分類しています。
①スポーティング・グループ(鳥猟犬)
スポーティング・ドッグ(銃猟用犬)は、イギリスではガン・ドッグと呼ばれています。16世紀に銃器が発明されたことによって鳥猟の方法は一変しました。犬が獲物を捜索し、ハンターの命令によって獲物を飛び立たせ、銃で仕留める方法が一般化します。
ストップ犬と運搬犬
スポーティング・ドッグは、獲物を探索しハンターに獲物の所在を知らせる「ストップ犬」と、射撃により落ちた獲物を回収する「運搬犬」に分けられます。
ストップ犬として有能な犬種はポインター、セッターです。これらの犬種は、獲物を発見した時、哭き声ではなく態度で知らせるように改良されています。そして獲物の存在を主人に教え、獲物がハンターの銃の射程距離内に入るまで、鳥を引き止めておくのです。
鳥が隠れる余地を残しておき、飛び立つことをあきらめさせる方法で、鳥側から見れば「飛ぶよりもじっとしている方が安全である」という状況を作り出します。
役割に応じた犬の仕事
銃による鳥猟では、獲物が人間では回収が困難な場所に落ちることが少なくありません。射撃により落ちた獲物の回収(リトリープ)はリトリバー犬種の仕事で、プードル、ポーチュギーズ・ウォータードックに始まり、ラブラドール・リトリバー、ゴールデン・リトリバー、カーリーコーテッド・リトリバー、フラットコーテッド・リトリバーなどが活躍します。
また、湖や沼に泳ぎ入って獲物を口にくわえて運んで来るウォータードックも、鳥猟に欠くことのできない犬です。
販売のための猟
猟は自分たちで鳥を食べる者だけがするのではなく、売るために鳥を獲る猟師も多くなりました。狩猟民族にとって猟犬の性能の改良は、仕事の能率をあげるために必須であり、このグループの犬種向上はめざましいものでした。
②ハウンド・グループ(獣猟犬)
テリア種を除いた獣猟犬のことを「ハウンド」と呼びます。
人間が犬の価値を見い出したのは、 犬の狩猟能力の高さによるものと思われます。すなわち、人間と猟犬の関係は、 他の動物界では見ることのできない利益関係にあるといえます。
フランスやイギリスの社交界では古来、 鹿やキツネ狩りが大流行し、 狩猟には一定の儀式や服装、マナーが要求されるまでになりました。ハウンドによる獣猟は、猟犬が獲物を捜し出してハンターに射撃させる方法と、馬に乗ったハンターが多くの猟犬を引き連れて猟野をめぐり、 犬に獲物を捕獲させる方法があります。
嗅覚ハウンドと視覚ハウンド
ハウンドは、「嗅覚ハウンド」と「視覚ハウンド」の2種類に分けられます。
嗅覚ハウンド (セント ・ハウンド) に属する猟犬は、ビーグル、ブラッド ・ ハウンド、ダックスフンド、フォックス・ハウンド、ノルウエジアン・エルク・ハウンドなどで、嗅覚がよく発達し、地面に低く鼻をつけて臭跡をたどるタイプです。
主として鹿狩りに使われたブラッド・ハウンドは、傷ついた鹿が遠ざかる時に、別の獲物に気を取られることなく、血の臭いを頼りにどこまでも追跡する能力を持っています。
視覚ハウンド(サイト・ハウンド)に属する猟犬は、アフガン・ハウンド、ポルゾイ、グレー・ハウンド、サルーキ、アイリッシュ・ウルフ・ハウンドなど長肢の大型犬種で、獲物を視力により発見し高速で追走して捕らえるタイプです。
日本原産犬グループ
日本原産犬種の多くは獣猟犬で、分類上はハウンド(嗅覚ハウンド)に属するものですが、団体の中には日本原産犬のグループを別途設けて、分離しているところもあります。
ドッグレースのための改良
ハウンド・グループの犬種の内、グレー・ハウンドやウイベットはドッグレースで使用するために改良されてきました。
ドッグレースは、スタート位置にある犬を入れた箱の扉を一斉に開け、ウサギの肉片(臭い)を付けた模型を機械的に動かして追跡させる形で行われます。
ドッグレースには短距離走に適した瞬発的な速さが要求されます。競走距離は約500mで、時速にして約60kmのスピードで競われます。
観客は犬券を買い、競馬同様に賭けて楽しみます。日本では許認可の関係でドッグレースは実現していません。
一般社団法人国際家庭犬トレーニング協会
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